万博出発前夜のドタバタ劇
万博出発前日の晩。
「おばあ」の好きなカステラや自分の晩御飯を作りながら、「おばあ」の体調確認のためにテレビ電話をした。
「元気、元気、体調バッチリや!ちょっとトイレが心配やけどなぁ。」と、「おばあ」が話始める。
顔色も良く、元気そうで安心した。
5分ぐらいで電話を切るつもりが、何やら、画面の奥で、母が行ったり来たりしている。
「何してんの?」
聞かなければよかったと後悔したのは5分後。
今から1時間のテレビ電話コースになるなんて。
母:「これどれがいいかな?」
「おばあ」の前に並ぶのは、2つの帽子だ!
黒と黒。
スマホ画面では、色の違いぐらいしか分からない。
順番に「おばあ」が被りだす。
母:「この黒の帽子に、このモコモコのニット。こんな服装でいいかなぁ?」
おばあ:「こっちの帽子の方がええか!」
私:「黒い帽子と黒い帽子、違いが分からへんねんけど。」
母:「こっちはちょっとスエードぽい生地、ほんでこっちのはメッシュ。メッシュでもええか?」
私:「メッシュは服に対して帽子が夏すぎるんちゃう?明日は暑くなるらしいから服を夏らしくしたら?」
ファッションショーの始まりだ。
暑くなるならば、、、と、
母は夏服を探し始めた。
「おばあ」が指示を出して、
「そこにある。それ出して。あれもいる。これもええか。」
嫁と姑なので、母はテキパキとよく動き、「おばあ」の指示も的確だ。
夏服として、水玉模様の白いシャツを画面いっぱいに見せてきた。
これにジャケットとスカーフ。
あれや、これや、いつの間にか、
「おばあ」のタブレットの上には服が乗っていて、こちらには何も映っていない。
母が私の名前を呼びながら、「どれがいいと思う?」と聞いてくるが、
画面は真っ暗だ。
私:「画面映ってないから分からへん。」
母:「いやっ!タブレット、どっかいった。あった、あった。あぁ〜、なんか半分自分が映るようになっちゃった。どうしたらいい?え〜〜、なんか画面映らへんくなってもうた。どのボタンやろ?」
私:「もうみせやんでも、好きな服来たらええよ。」
私の声が聞こえていないのか、聞こえていても気にしていないのか、一方的に話し出して、止まらない。
母:「黒のメッシュ帽子にどの服が合うかな?白い帽子もあるわ!」
どうやら洋服も何パターンかあるらしい。
帽子も2つからいつの間にか3つに増えている。
母は、「おばあ」のタブレットの操作方法が分からず諦めたようで、画面は真っ暗。
音声だけのラジオ状態。
嫁姑ラジオを聴きながら、こちらは晩御飯の準備を進める。
すると突然、母の携帯から「おばあ」が着替えた写真が送られてきた。
!!!
!!!(爆笑)
巨大なスカーフを胸元でリボン結びにしている!
違和感しかない。今から漫才でもするのかと思ってしまう。
どうみても坂田師匠にしか見えなかった(笑)
みっちり1時間、おばあのファッションショーに付き合った。
ファッションショーでお腹いっぱいだが、晩御飯を食べないといけないことを理由に電話を切った。
その後もファッションショーは続いたそうだ(笑)
ひとまず「おばあ」の体調確認はできた。
明日は万博へ行けそうだ。
私も久しぶりの遠出外出なので、なんやかんやと準備をしていたら、眠りについたのは深夜2時。
目を瞑ると「おばあ」の漫才姿が浮かび、なかなか寝付くことはできなかった。
万博出発当日の珍道中
万博出発当日!
6時30起床!
少し寝坊をした。
駐車場入庫時間は13時。
実家には10時着の予定だ。
バタバタと身支度をして、いざ出発。
実家までのルートは2パターン。
走行時間は数分しか変わらないので、もちろん安いルートだ。
混んでおらず、スムーズに高速へ。
ん?
待て、待て、待てよー(汗)
なぜ、なぜ、なぜだ、高速を降ろされる、、、(大汗)
「終日通行止め」
なんだってーーー!!!!!
今日に限って(涙)
普段は温厚な夫だが、渋滞だけは耐えられない性格だ。
もう既に不機嫌な表情をしている。
渋滞の時は夫のご機嫌取りに徹するしかない。
大抵の機嫌は食べ物、飲み物があれば治るが、飲み物もお茶しかない。
不機嫌な表情の夫と30分程、一般道の旅。
ようやく再び高速に乗れた。
1時間遅れで、11時すぎに実家に到着。
トイレも済ませて準備万端の「おばあ」
玄関の椅子で待ちくたびれていた。
「お待たせ~~!はいっ!行くよ!」と声をかけても気づかず。
「おーい、見えてるか?」と2回目の声かけで私がいることに気づいて、驚いた表情をしている。
「おばあ」が待ちくたびれるのは仕方がない。
何を隠そう、5時から起きているのだから。
今日の服装はバッチリ。
巨大なスカーフはなし(笑)
おめかしもして、昨日のファッションショーの甲斐はあったようだ。
「あぁ、来たんか?」といつもよりエンジンがかかりきらない「おばあ」を乗せて、いざ万博へ!
この時は気づかなかったのだが、
もしかしたら「おばあ」は物思いにふけっていたのかもしれない。
そんなことをよそに、
私は出発すぐにカーナビが心配になり、きちんと設定できているのかと、夫に2度確認した。
私が重要とするポイントを夫はいつも適当にしがちだからだ。
【万博推奨の迂回ルート】
このルートを通って万博会場へ到着したいと考えている。
だって、割引があるのだから。
駐車場利用される方は、【迂回ルート】や【指定の出口(舞洲万博P&R駐車場、尼崎万博P&R駐車場、堺万博P&R駐車場が対象)】を通ると駐車場料金が後から割引されるので確認した方がよいと思う。
だからこそ、私は何度も夫に確認したのだ。
【迂回ルート】のチェックポイントは、
「阪神高速6号大和川線 三宅西本線料金所」の通過だ!
地図を印刷もした。
準備は万全のはず、、、だった。
今日は夫が運転手。
「おばあ」が助手席。もちろん最大まで後ろに下げた広々空間。
私はその後ろ。足の厚み幅だ。
私の隣にはキッツキツに車椅子がのっている。
私の位置からはカーナビが見えないため、口頭で指示。
指示といっても実際の高速レーンまでは詳しくない。
紙の地図も簡略図だ。
分かってるのは、チェックポイントである「阪神高速6号大和川線 三宅西本線料金所」を通過しないと割引が効かないということだけだ。
そんな重要ポイントで、助手席に座っている「おばあ」が急に、
「そろそろ(夫を)休憩させてあげなさい!」と怒り出したのだ。
「もっと夫を大切にしなあかんで!」と、
ついさっきまで1970年当時の万博の話を懐かしげにしていたのに、
突然、私への説教モードスイッチが入ったのだ。
心の中で「今はナビが大切なんやけど!」と思いつつも、
「おばあ」とのラリーが始まった。
口喧嘩ラリーは目が合う度に始まる子どもの頃からの恒例だ。
昭和の「おばあ」と昭和の両親に育てられたので、口喧嘩はかわいい挨拶のようなものである。
おばあ:「あんた、もっと夫を大切にしなあかんで!」
私:「分かってる。今は休憩いいねん、もう着くから!」
おばあ:「あかん!休憩しなあかん!あんた、夫にそんな態度あかんで!ほんま、あかん!」
、、、これを3往復。
子どもの頃と比べたら、ただの会話に感じてしまう。
私:「ほなもう、実家引き返そか?」
そんなわけないが、そういうと少し不満気だが反論はしなくなった。
そんな会話をしているうちに、
「ピーンポン」
ETCの音だ。
ん?通過したのか?
大阪市内?なんか違う気がする。
結局、通過したのか、分からなかった。
違う気しかならない。
夫曰く、カーナビがこっちの道だ!と!
「おばあ」からの説教を受けている合間にも、私はチェックポイントを叫び続けていたが、夫の耳は右から左。
カーナビを見ていた。
夫の中で私よりもカーナビの方が信頼度が高いから仕方ない。
まぁ、カーナビだから大丈夫だろうと私も思った。
でも見えてきたのは、大阪市内の看板。
絶対違う気がする、、、、、
カーナビを信じ進むしかない。
夢洲駐車場は【指定の出口】は決められてはいないが、
何故か、出口は天保山で降りることになった。
というか、カーナビでは天保山が最終地点、続く高速道路はないと夫が言う。
きっと割引は効かないだろう。
諦めた(涙)
ところで、夢洲駐車場はどこ?
後部座席からはカーナビが見えないので、携帯でナビを開く。
高速を降りてから「携帯のナビ」はなぜか、高速で通り過ぎたであろう道を一般道で戻らせてくる。
おかしい。
何かおかしい。
車椅子を押しのけて、後ろからカーナビを覗いてみると、、、
カーナビは困っていた!
カーナビには、道がない!
カーナビが古いのだ!
だから朝の工事情報も入っていなかったのかもしれない。
もうこれからは、カーナビは当てにしない。
最新の工事情報やルートは自ら確認しよう。しなかった私が悪い。
そう誓って、怒りを捨てた。
【迂回ルート】や【指定の出口】を通過して割引を効かせたい人は、
最新のナビ情報であるのか、確認必須だ!
これは勝手な希望だが、
できれば万博の期間だけ、迂回ルートの入り口に「万博推奨ルートはこちら!」のような案内があると遠方組はありがたいと思う。
何はともわれ、無事に夢洲駐車場へ到着した。
到着後、紙の地図を夫に見せるとあの時、左ルートやったんかな?とかなんとか、、、
そういえば、口喧嘩のさなか、「おばあ」は小さく、「(左)こっちちゃうか?」と言葉にしていた、、、
【最新ナビがないなら、「おばあ」の勘を信じろ!】
とても教訓になった。
ただ今の時刻13:00
入庫時間ピッタリ到着だ!
「おばあ」のテンションも上々だ!
【次回のひとりごと】
いざ、出陣。
想像以上の大屋根リング。
東から西へ猛ダッシュ(汗)
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