階段でも諦めないで!
今からは予約なしだ。
人気所のフランスパビリオンやアメリカパビリオンは長蛇の列になっている。
18時。
この時間から9つのパビリオンを回ることになるなんて思いもしなかった。
特に並ぶわけでもなく、ふらふらと移動しながら、
外観のパビリオン名の前で写真を撮ることで旅行した気分だけを味わっていたところ、
マレーシアパビリオンは少し並べば入れそうだったので、並ぶことにした。

並び始めて、すぐ疑問が湧いた。
これ、車椅子で入れるのか?
入り口は階段だ!
思わず夫に「入れないよ!」と話していたところ、
スタッフの方が気づき、「車椅子の方はこちらになります。」と声をかけてくれた。
ついていくと、エレベーターが!
階段を登らずとも入れたのだ。
スタッフの方に声をかけてもらえないと諦めてしまう人もいるだろう。
今考えてみれば、フランスパビリオンは見るからに階段だからと、無意識に諦めていた。
混んでいたので並ばなかったとは思うが、エレベーターがあったかもしれないと思うと少し残念な気持ちにもなる。
車椅子では入れなさそうな入口が階段のパビリオンは
エレベーターがあると思われるので、諦めず確認してほしい!
マレーシアパビリオン 穴場な屋上あり

エレベーターを使い、マレーシアパビリオンへ入館。
海外の文化が学べることが万博の醍醐味ということを夕方にして気づき始めた。
マレーシアパビリオンでは、主に模型で文化に触れることができる。
街のジオラマや食品サンプルがたくさん。
シルバニア好きな私にとって、
リアルなミニチュアなのがかわいく、長居してしまった。
館内は下りながらマレーシアの文化に触れていくことになるが、
階段付近にはエレベーターがあるので、迷うことはない。

最後の映像の部屋は車椅子では見えない。
諦めて出口へ向かおうとしたところ、スタッフの方が「前へどうぞ!」と声をかけてくれたので、ありがたく甘えさせてもらった。
「おばあ」も「ありがとう!」と目を輝かせ嬉しそうだ。
この部屋では2050年マレーシアの未来を描いた映像を観ることができた。

「おばあ」は何を思って観ていたのだろうか。
「2050年は何歳になってるかな?」と「おばあ」に何気なく聞いてしまった。
「………。数えで96やから、25足して、121歳や!」
もっぱら電卓頼りの私より計算は早い。
ただ、いつも数えで年齢を言うため、満何歳なのかが分からず、こちらが混乱する。
一瞬、変な間があった。
もう生きていないだろうと言わんばかりの何とも神妙な表情をこちらに向けていた。
本当に一瞬。
その表情を見て、デリカシーの無い孫だと少し反省した。
そういえば、エレベーター移動だからこそ、気づくことができた穴場スポットがある。
“屋上”で休むことができるのだ。
夕方だったからか、ベビーカー子連れのひと家族がおにぎりを食べていた。
日中の炎天下で無い限りは少し休むにはいい場所だと思う。
小さな空間だが、静かなので、人混み酔いをした人も落ち着ける場所だ。
通常ルートでもどこかに表示はあったのかもしれないが、
目を凝らしてフロア案内を確認しないと見逃してしまうと思う。
穴場を探すなら、どのパビリオンでも“フロア案内”はチェックするとよいかもしれない!
マレーシアパビリオン出口にはテイクアウトもできるレストランがある。
夫の顔には疲労感と「お腹がすいた」と書いてあったので、並んででも、マレーシア館で食事を摂ろうかと考えたが、「おばあ」が首を横に振ったため、断念した。
「おばあ」は変わり種は食べられなさそうなので仕方ない。
今から考えると食事に時間を使ってもよかったと思うのだが、当時の私も疲労で判断が追いついていなかった。
フラフラと匂いに釣られて歩いていると、みるく饅頭「月化粧」の文字が見えた!
私たち夫婦が好きな饅頭だ。
マレーシアパビリオンの左横にある屋台で「焼きたての月化粧」が食べられる!
いらないと言う「おばあ」もちゃっかり食べた。

壁面のコミャクと写真撮影。
流れるようにペルーパビリオンへ。
ペルーパビリオン 試食・試飲あり

夕方からは空いているのか、ペルーパビリオンにもすぐに入館できた。
没入感のあるの映像に包まれる。
まるで上空へ移動しているかのような錯覚に陥った。
「きれいだ!」心からそう思った。
感動・感激という感覚を最近は忘れていたようで、私にはよい刺激になった。
日頃のギスギスした心を洗い流してもらったようだ。
各ブースごとにスタッフの方が誘導案内しており、車椅子でも安心してまわることができた。
“無料”
私が惹かれてしまう言葉である。
ペルーでは、試食や試飲があるのだ!
時間帯で食べられるものが変わるようなので、狙って行くのも良いかもしれない。
私たちの時間帯はお酒だったので、残念ながら遠慮した。
食に目がない夫はいつまでも名残惜しそうにブースを見つめていたが、今日の運転の主役は彼なので、見て観ぬふりをした。
その間にシパン王とパシャリ!!

丁寧に案内してくれるスタッフさんのお陰で、
車椅子の視界からでも存分にペルーを味わうことができた。
そして、噂に聞いていたコモンズAへ。
コモンズA 試飲・試食あり

何度も言うが、“無料”という言葉に弱い私。
予習のYouTubeでは、無料で試飲、試食ができるとのことだったので行くっきゃない!
狙いは “キルギスのハチミツ” と “ウガンダのコーヒー” だ。
キルギスのハチミツは白いらしい。

既にブースには人がたくさん!
きっと皆もハチミツ目当てかなと思いつつ、
ブースのお姉さんにハチミツ試食の時間を聞くと19時と教えてくれた。
ワクワクしながら他国ブースを散策。



19時3分前にキルギスブースで待機。
1分前にはすごい人集りに。
「おばあ」も嬉しそうにハチミツを受け取る。
「高いハチミツは優しいな。やっぱちゃうわー。」としみじみ。
キルギスの白いハチミツは、ツンとしたトゲのある甘さではなく、コクのある優しい甘さだった。
「毎日食べたら私のトゲもとれるかもよ~」と、夫に声をかけるもさらっと無視された。
高級なハチミツは買ってもらえなかった(苦笑)
普段使いには勿体無いので、仕上げにかけるなどのハチミツを直にいただく食べ方が満足できそうだと思った。

ハチミツの後は、ウガンダブースへ。
コーヒーが飲めると聞いていたが、19時のブース前は特に催しは無く、スタッフさんたちはお開きモードで奥から笑顔を向けてくれるだけだった。
少し残念だが、コーヒー豆の花や焙煎過程のサンプルを見ることができた。


コモンズ館は並ばなくて良いので、手軽に、快適にたくさんの国を楽しむことができる場所だ。
長くなりすぎたので、続きは次回。
静けさの森を抜けて、アゼルバイジャンパビリオンへ。
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